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「まじめ」で野暮ったいほどハートを大事にする山形県民

映画のロケ地が新名産の庄内地方と内陸地方に分かれるが、基本は「泥棒も心穏やかに過ごすことができる」ほどのお人好し。

全市町村すべてに温泉があるのが自慢の山形県。体も心も湯で癒し、「芋煮」をいただいて一生懸命働きます!  

「働き者」がつくりあげたサクランボの銘品

山形県は東北地方にあって、日本海に面していることもあるので、寒い雪国のイメージをもっている人もたくさんいるだろう。

ところが、思っていたよりも山形県は「暑い県」でもある。 

2007年夏の猛暑によって埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で最高気温30.9度を記録したが、それまでの74年間の第1位は山形県山形市が1933(昭和8)年に記録した40.8度だったのだ。

同県の酒田市でも1978(昭和53)年に 40.1度を記録している。冷房の設備が完全に整っていない時代でのこの温度は、耐えがたかっただろう。 

東北地方に位置しながら、夏は非常に暑い~つまり、山形県は1年のうちの寒暖の差がとても大きく、夏は暑くて冬は寒い県なのである。しかも、その寒暖の境目が急なのだ。 

急激に暑くなったと思ったら一気に寒くなる。いわばジェットコースターのような気候は、年間だけでなく1日の間でも見られ、昼間と夜間の気温差も激しいという。 

なんとも体温調節のむずかしそうな土地柄だが、このむずかしい気候のおかげで、山形県は農産物や海産物に恵まれている。

なかでも、サクランボやラ・フランスなどの高級果実、最高級の和牛「米沢牛」は日本国内においてその名を知られている。 

豊富な素材に恵まれ、食生活が十分にあるからか、東北各県は全般に「労働が辛い」と思う人の割合が多いのだが、山形県だけは全国平均より少ないという。 

「勤労意欲が高い」というのが山形県の県民性だが、とくに山形の女性は「働き者」だ。

結婚しても専業主婦となる女性は少なく、生活がたいへんなわけでもないのに働きに出ようとする。

山形県は夫婦共働き世帯の割合も、以前からトップクラスだ(2008年「家計調査」では全国2位)。 よく働いて、よく食べる。山形県の人はきわめて健康的な暮らしをしている。

どうして「3世代同居率が高い」のか

山形県にはサクランボに代表される特産物の以外にも、日本第一位のものがある。 

祖父母、父母と一緒に生活する「3世代同居率」というデータがあるが、山形県は全国平均8.6%に対して24.9%と圧倒的に高い(2005年国勢調査)。

集計のうえでは4軒に1軒が3世帯同居世帯ということになる。ちなみに、最下位である東京都は3.1%。また、一世帯あたりの人員数でも山形県は日本一 (3.09人)だそうで、山形県人の家族の仲の良さがわかる。 

なぜそんなに仲がよいのだろうか。そのわけをたどっていくと、戦国時代から江戸時代にかけて上杉景勝の名参謀・補佐役として活躍した直江兼続や、その兼続を手本としたといわれる第9代米沢藩主匕杉鷹山に行きあたるようだ。 

この2人に関係する考え、行動の規範というのは「愛」と「義」。 兼続は、兜の前頭部につけた「前立て」に「愛」という文字を飾りつけしたことで知られる。

愛の意味は車神の「愛染明王」や「愛宕大権現」の「愛」というのが定説だったようだが、近年は「愛民」や「仁愛」「慈愛」の「愛」とも解説されている。 

一方の膺山も、貧困にあえいでいた下級藩士や領民の側に立って、藩の財政を立て直した至誠の人だ。 

つまりか、この2人の教えによって、山形県人は人に慈愛をもって接するやさしい心を育ててきたのだ。

山形県では慈愛の心をもたない人も、慈愛の心に感謝しない人も笑われる。とくに、人の親切に対して謝意を示さない人間は「ぺろすけ」と言われて、嫌われる。 

辛口の評論家として知られた故大宅壮一は、山形県人を「野暮で誠実」と評した。「そのとおり」と素直に認めるのも、また山形県人。まさに、「まじめ」で野暮ったいほどハートを大事にする熱い県民なのだ。